昨年の台風10号の水害から1年がたちます。泥水に沈むお店を遠くに眺め、何も出来ずに線路の上にたたずんでいました。この写真は、当日の朝にシェフが、何気なく店内の様子を撮ったものです。その数時間後に背丈程も浸かるとは。
翌日の午後、水が引いてきたところで店まで近づき、膝まで油が混じった水に浸かりながら入り込み店内を見て言葉を失いました。そこには、どろどろになった椅子や調理機器、冷蔵庫は傾き、グラスは散乱、スタッフさんが愛情を込めて作ってくれた手作り雑貨達。何とかしなけれればと思うがどこから手を付けていいのかと。気が付くと暗くなってしまいました。
暑い中、町の人達、ボランティアの方々が黙々と作業をし、埃のたつなか行き交う風景が今でも想い出されます。
あれから1年、踏ん張る。とにかく前をみて。
失ったものが多すぎて再開どころか、無収入への焦りで新たな仕事場を探そうかとも。
気持ちが折れずにいれたのは、同じ気持ちの人が頑張っている姿を目にしたからでしょう。出来ることからと準備をすすめ、土風館のこの場所をお借りしました。もうエルコリーヌの復活は無理かとも思う中、背中を押してくれたのは、やはり人の言葉でした。無事を涙を流して喜んで下さる方、再開をぜひと来て下さっていたお客様からも。
少しずつ、少しずつ。今も出来ることから少しずつ。
生業で始めることが出来たこと、それは大きな前進と思っています。
木売内工房さんの地元赤松のテーブル、小久慈焼の器、地元の食材をを使い、同じく被害の大きかった岩泉は龍泉洞のお水でコーヒーをいれ、エルコリーヌのコンセプトである地物を多く取り入れることを共有した新しいカフェが出来上がりました。
開店から何とか8ヶ月が経ちました。これからも、皆さんに喜ばれるお店作りをしていきたいと思います。
自然豊かな岩手県北三陸久慈。
心は、豊かに。そうありたいと思う毎日です。これからも、よろしくお願い致します。
カフェ・ド・ラ・プラス 秋山信行・志津
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